【クラウンSUV化報道から思う自動車開発について】
【クラウンSUV化報道から思う自動車開発について】
セダンから脱却?!でもそれってどうなのかな、、、と思うこと。
クラウンがSUVになるという報道がされ、かなり話題となりました。最近では中国でそれらしき車がスクープされるなど、どうやら一連の報道は本当のようです。
ですが、これらの報道を聞いて僕的には「ちょっと待てよ」と疑問が湧いてくるのです。そこにはメーカーの開発への意識や考え方の違いがあるように思えてくるのです。。
伝統を重んじることの価値
まず僕自身の本心を述べるとすると、「これまでの伝統を捨てていいの?」という事につきます。予想通り今回の報道にはネットや雑誌を見ても、かなり賛否の声が上がっていました。ただ誤解のないように言うと、新しい物を作る上では前提として「変化をしていくこと」はとても大事な事であると思っています。その意味でいえば、クラウンが新しく変化していくことは必然とも言えるでしょう。何より、昔のようにセダンは全く売れなくなってしまいました。それに代わって、ミニバンやSUVなどの車がものすごく売れている状況です。これまで高級車=セダンだった式は変わってきています。(今やランボルギーニとかロールスロイスまでSUVのモデルを作ってます)だからこそニーズに合わせて、SUVとして新たに作られていくことは時代の流れと言えます。
ですが、なんとなくそれは「今の形じゃ売れないから、流行りのものに切り替えていこう」という感じに聞こえてくるのです。そんな簡単にポンっと別のものに変えるというのは良いことなのかなと思うんです。
もちろん時代の流れや社会情勢に合わせながら物を作ることをとても大事なことです。一方で、メーカーが持つ「伝統」みたいなものを大切にしていくことは必要なのではと思います。
例えば、海外メーカーを見た時、それぞれのメーカーごとに「これだけはぶれない」という古くからの伝統や特徴をそれぞれに持っているように思います。例えばメルセデスベンツは、Sクラスを世界のフラッグシップセダンとして作り続けています。BMWはDセグメントの3シリーズ、フォルクスワーゲンはCセグメントのゴルフ、アウディはクワトロシステム、、というようにそれぞれの分野で昔から変わらずに芯を持って開発をし続けています。
その意味でいえば、トヨタは「クラウン」という車は他のメーカーには簡単にはまねできない歴史や伝統、こだわりというものがあると思います。なんといっても、僕らが生まれる何十年も前からずーっと販売され続けてきた車です。クラウンに関しては、世代を超えても共有できる数少ない車の一つです。また、日本の道路事情に合わせたサイズや、積載量、乗り心地の良さなどは、特徴と言えるものです。だからこそ、クラウンは世界に誇ることのできる日本の歴史と文化を持ったセダンだと言えますよね。
その意味で、名前だけクラウンと名付けてSUVとして売るのはどうなのかなと思うのです。もちろん、ただ昔のことにこだわり続けるだけではよくないし、それは懐古厨と言われてしまうでしょう。
一方で海外メーカーは、市場や社会の変化に合わせつつも、自分達が作り続けてきた物や技術、思想は崩すことなく新しい物を生み出し続けています。だからこそ、ユーザーはそれに魅了され、そのこだわりに対して価値を見出しています。クラウンの場合も、これまでの伝統や歴史みたいなものがありながらも、それを売れないから簡単に変えるというのは、開発の在り方として残念な気がするのです。
今のクラウン開発のズレ
今のクラウンも、若返りを図るということでかなりスポーティーなイメージへと路線変更をしてきました。その意味では新しいことへと変化していく開発をしたと言えます。ただそのマーケティング自体は、ちょっとズレているような気がします。
例えば現行のクラウンを販売する上で、様々なメディアで「「ニュルブルクリンク」で開発テストを行った車!」という事を前面に打ち出していました。それらを通じて、かっこよくスポーティーな車として若者に対しても魅力を発信しようとしていました。しかし、僕らからすればそもそも多くの人が、「ニュルブルクリンク??」という感じのはずです。もちろん車が好きな人はよく熟知していることだと思いますが、一般的にみれば「何それ美味しいの?」状態だと言えます。若者の車離れと言われている中で、その言葉に反応する訳がない笑 そういう意味でせっかく新しいものへと変化したのに、結果的に誰に魅力を伝えているのか分からないような状態になっている気がしてなりません。。。
だからこそ、ただ「売るため」ではなく、良い車を作る思いでクラウンという車をこれからも残してほしいなと思います。なのでSUVになっても、これまでの伝統や価値みたいなものを残しながら、新しい物を生みだしてほしいです。。