【正直レビュー】 「新型デリカD5」の魅力と実力はいかに?!
三菱自動車の屋台骨 「新型デリカD5」の魅力と実力はいかに?!
気になるミニバンの正直試乗レビュー
デリカD5は、三菱自動車を代表する車の一つであり、本格的なオフロードミニバンとして根強いファンを持っている車でもあります。そんなデリカD5が、2019年2月にフルモデルチェンジとも言える「ビックナイナーチェンジ」を行い、大幅に進化を遂げました。
コワモテなデザインに
現行のデリカD5が登場したのは2007年に遡ります。なので、車そのものは販売されてから13年も経過しているので、かなりのご長寿車と言えます。そんなデリカD5ですが、今回のビックマイナーチェンジで大きくそのイメージを変えてきました。これまではどこかオフロードを走るギア感のあるデザインでしたが、新型のその顔はまさにプレデター顔とも言えるコワモテな顔になりました。それだけけに、発表当初は電気シェーバーだとか言われていましたね。。しかし最近は、奇抜なデザインの車が各社から出される傾向にあるため、逆に「慣れてきた」、「かっこいい」という意見が多くなってきたように感じます。
内装もアップグレード
それだけにどうしても外観だけに目がいってしまいますが、様々な部分がアップデートされています。内装は、以前のモデルとは大きく変更され、モダンな印象になっています。特に目を引くのは、巨大なナビ。シートやハンドルのデザインも一新され、モダンな感じになっています。というのも、内装がチープであることがこれまでのモデルでは指摘されていました。例えば、家族で車を見に来ても、内装の質感がちょっと。。ということで、奥さんが渋るような事もあったのだとか。泣
メカニズムも時代に合わせて新設計
そしてデリカD5の魅力の肝とも言えるのが、ディーゼルエンジンです。ハイエースなどの車を除けば、ミニバンでディーゼルを積んでる車なんて中々あるものじゃないです。新型デリカD5に搭載される、2.3リッター直列4気筒ディーゼルターボエンジンは、これまでの「4N14型」と言われる型式エンジンを踏襲しながらも、環境規制や燃費に対応する為に新たな尿素システムを取り入れ、エンジンを構成する部品の5割程を新設計させています。これにより、最大トルクは国産ミニバン最強スペックの380Nmを発揮します。これに新開発の8速AT、さらにはデュアルピニオン電動パワーステアリングを取り入れ、よりスムーズでリニアな走行性能を実現しています。
実際に運転してみてどうか?!
走り始めて何より驚くのは、乗り心地と静粛性。まさに「上質な」という言葉をつけても良いと思えるもの。ディーゼルエンジンは、一般的なガソリンエンジンに比べて「ガラガラ」とうるさいイメージがあります。ですが、新型では車内に乗っている間は、不快な音や振動がしっかりと抑えられています。(さすがに外に出たらうるさいですが。。)特に60キロ以上の高速域では、全くディーゼルエンジンの音を感じないほどに静かに抑えられています。この乗り味は驚きました。
それとパワーも申し分ないですね。トルクでしっかりと引っ張ってくれます。車好きな方は、よく馬力をみたりする事が多いかもしれません。実はその意味では、新型は前のモデルより馬力自体はパワーダウンしているんです。ですが、2トンあるボディーを全然問題なく走らせます。坂道でスピードを上げるような時でも、キックダウンすることなく、低回転からモリモリとパワーを出してくれるので、運転していて疲れないです。これはやはり、380Nmというトルクのパワーのお陰なんですね。100キロ巡行では、1500回転くらいでスムーズに引っ張ります。「車の性能は決して馬力ではない」ということを教えてもらったような気がします。また、任意で選択できる4WDモデルに切り替えれば、特に高速ではビシッと安定して走ります。空気抵抗をもろに受ける箱型のボディーなだけに、この強靭な4WDシステムとボディ剛性はとてもいいです。
正直に書きます! 気になるところもある・・
ただ気になる所もあります。それはミッションのギクシャク感です。デリカD5では、1速から発進させた場合、だいたい2200回転くらいで2速に入ります。ただ街中だと、ギアが中々変わらず、変速がもたつく印象があります。今や低回転が非常にスムーズな車が多いため、(EVは異次元ですが)こうしたギヤ比の設定は少し癖を感じるかもしれません。もう少し、低い回転域で1速から2速に切り替わってくれると、車全体の乗り味もまた変わってくると思います。こうした背景には、恐らく雪道や泥などの、オフロード走る事を想定して、三菱さんはあえてギヤ比を高めに設定しているのではと個人的には思っています。
また、デリカD5では標準でパドルシフトがついており、自分でギヤを上げたり下げたりと運転することができます。ちょっとスポーティーに走りたいときや、エンジンブレーキを多用したい場合にはとても良い機能なのですが、一度変速をしてしまうと、自分でモードをオフにしない限り、停車するまでマニュアルモードになったままになってしまうんです。これはちょっと面倒な所。メルセデスなどは、パドルシフトを使っても一定時間何もしなければ、自動的に解除されて通常のドライブモードに切り替わります。デリカD5は、長押しで解除をしないといけないため、ちょっと面倒な感じではあります。ただ、そもそもスポーツカーとは真逆の車であるため、そこまでの機能はいらないのかもしれませんが。。
あと、デリカD5では予防安全装備もつきました。ただ、クルーズコントロールではハンドルのアシストはつきません。それと、前の車がいなくなると自動的にスピードあげて走りだしますが、それがかなり唐突にエンジンをぶん回して加速するため、ちょっと使いにくい印象ではあります。。
それでも運動性能としては、ミニバンとは思えないほどにきびきびと走ります。車高が高いだけに、良い意味で予想を裏切られたような感じです。
しかし多人数で、どんな場所でも走れて。という要望に応えるのは、世界中探してもこの車くらいしかないでしょう。このセグメントに関しては、まさに三菱の独壇場です。(あのトヨタもいまだに参入していないですからね。)だからこそ、長い目で見てもデリカD5という車は、とても貴重で価値のある車じゃないでしょうか。
これから、全ての車が電動化されていく中で、こうしたディーゼルエンジンの本格4駆ミニバンを買えるのはもしかしたら今だけかも。。